弁護士JPにこちらの記事が載っていました。
ざっというと、両親が日本人ではないため、日本国籍が与えられてない少年が法に基づいて国外退去になりそうなところ、とりあえず日本に特別に許可が与えられて残っているものの、母親は強制国外退去になったというもの。少年は日本で生まれ育ち、日本しか知らないのにタイに行かなくてはならない理由が分からないということで裁判を起こしたというものです。なお、親子揃って不法滞在の状態です。
法学入門の教科書に国籍法違憲訴訟が取り上げられていますが、まさにこれに類似の事例です。国籍法では血統主義を採用しており、両親または母親が日本国籍を有している場合には有無を言わさず日本国籍が与えられますが、日本人が父親でも母親が外国人で、かつ両親が婚姻関係にない場合には無条件で日本国籍が与えられないということになっています。生まれる前に日本国籍を持つ父が認知することや、生後に両親が婚姻関係になるなどが日本国籍取得の条件です。教科書の事例では、これが身分等により差別されないという日本国憲法第14条に違反しているかどうかの裁判であるわけですが、これはそもそも両親が日本国籍を持たない時点で毛色が違うといえば違います。ただ、この記事も法学入門の教科書を読んでいなければ完全スルーしていたわけで、勉学の成果が出ているということができるでしょう。
心情的には、日本国籍を持たないが日本しか知らず、日本語しか話せず、両親の祖国であるタイにはまったく行ったこともない少年を法律を厳格に適用して帰国させるのは心が痛みますが、法律は厳格に適用してナンボですので、ここは致し方ないのかなといったところです。
ではまた、次回。